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2026.8.30

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【雑学】「うちの子のうんちは臭くない」は思い込みじゃなかった?証明した論文とは

「うちの子のうんちは臭くない」は気のせいじゃなかった

「うちの子のうんちは、他所の子のうんちほど臭くない」——そう感じたことがあるママ、実は少なくないはずです。単なる親バカ、あるいは慣れの問題だと思われがちなこの現象ですが、実はきちんと科学的に検証され、論文として発表されています。

その論文とは

2006年、オーストラリアのマッコーリー大学の研究者トレバー・ケース(Trevor I. Case)氏らのチームが、学術誌『Evolution and Human Behavior(進化と人間行動)』に発表した論文がそれです。タイトルはずばり、

"My baby doesn't smell as bad as yours: The plasticity of disgust"
(「うちの子は君の子ほど臭くない:嫌悪感の可塑性」)

という、なんともシュールなタイトルですね。笑

調査:どうやって調べたのか

研究は大きく2つのパートに分かれています。

1つ目は、42人の母親を対象にしたアンケート調査。自分の子供のおむつと、他人の子供のおむつに対してどう感じるかを尋ねました。

2つ目はもっと踏み込んだ実験で、13人の母親に実際に使用済みおむつの匂いを嗅いでもらうというもの。しかもただ嗅がせるだけでなく、「これは誰の子のうんちか」というラベルを、正しく貼ったり、わざと間違えて貼ったり、あるいは何も貼らなかったりと条件を変えて、母親たちの反応を比較しました。

結果:思い込みだけではなかった

結果は明確でした。母親たちは、自分の子供のうんちよりも他人の子供のうんちのほうを、はっきりと「不快だ」と評価したのです。

ポイントは、この効果が匂いを嗅ぐだけの盲検(ブラインド)条件でも起きたこと。つまり、「誰の子か分かっているから優しく評価してあげよう」といった気遣いだけでは説明がつかない、もっと本能的・知覚的なレベルでの違いだということが示されたのです。「良いママに見られたいから」という建前だけの効果ではないというのは、なかなか興味深いところです。

理由:なぜこんなことが起こるのか

この現象について、論文では2つの具体的なメカニズムが考察されています。

1つ目は「選択的順化(habituation)」という考え方です。母親は自分の子供のおむつに日常的に、繰り返し接することになります。この繰り返しの接触によって、その子特有の匂いに対する感覚が徐々に鈍くなっていく、つまり「慣れ」が生じているのではないか、という説明です。

2つ目は、単なる接触頻度による「慣れ」とは違う角度からの仮説です。母親が反応しているのは接触した回数そのものではなく、血縁関係(relatedness)を示す何らかの質的なシグナルを、無意識のうちに検知しているのではないか、というものです。つまり、単に「嗅ぎ慣れているから平気」なのではなく、「自分の血を分けた子である」という情報そのものが、嫌悪感の強さに影響している可能性があるということです。

論文はこれらのメカニズムを、進化的には「病原体リスクの低減」という枠組みで解釈しています。生後間もない他人の子供の排泄物は、自分の免疫系がまだ十分に対応していない未知の病原体を含んでいる可能性がある一方、自分の子供のものは日常的に接しているため、相対的にリスクが低いと捉えられている、という考え方です。ただし論文自身も、これが本当に適応的な機能なのか、それとも別の理由による結果的な副産物なのかについては、断定を避けています。

まとめ:科学が証明した「親バカ」の正体

「うちの子のうんちは臭くない」というのは、単なる思い込みや強がりではなく、脳と心が対象との関係性に合わせて感覚の感じ方そのものを調整している結果だった——というのが、この論文が教えてくれる面白いところです。

次におむつ替えのときに「あれ、意外と平気かも」と思ったら、それは立派な科学的現象が自分の中で起きている証拠かもしれません。


参考文献
Case, T. I., Repacholi, B. M., & Stevenson, R. J. (2006). My baby doesn't smell as bad as yours: The plasticity of disgust. Evolution and Human Behavior, 27(5), 357-365.

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